
行く手に広がる大きな雲!旅客機のパイロットはどうするの?

たくさんのお客様を乗せて飛ぶ旅客機。フライト中にアクシデントが起きることも。お客様の安全のためにパイロットはどのような判断をしているのでしょう。航空会社のANAに教えてもらいました。
決まった対処法はない。状況によって最善の方法を選ぶ。
考えてみよう! 君がパイロットならこんなときどうする?
ア 高度を上げて雲を回避する
機内のゆれは少ないが、予定の時間ギリギリに到着する。
イ 高度を少し上げて雲の影響を少なくする
機内はややゆれるが、予定の時間に到着できるかもしれない。
ウ 高度はそのまま雲の中を通る
機内はよりゆれるが、予定の時間よりも早く到着できるかもしれない。

うーん。ぼくならどうするかな?
あなたはどんな答えを出しましたか?
この問題に正解はありません。
乗っているお客様のことを考えると、どんな答えがいいでしょうか。それは、状況によって変わります。たとえば、仕事のために旅客機に乗っているお客様が多ければ、予定通りに到着することを優先します。お子様が多く乗っていれば、時間よりも快適さを優先します。
私たちパイロットは、お客様のことを考え、刻々と変化する気象状況に合わせて判断をしながら、飛行機を操縦しています。でも、それは行き当たりばったりではありません。旅客機に乗る前から、こんなときにはこうしようという対策を立てて、準備をしているのです。

全日本空輸株式会社 猿棒正芳機長
旅客機のパイロットになるには?
航空大学校などに入学するか、航空会社に入社後、訓練を受けるなどして免許を取ります。その後、副操縦士昇格試験を受けて、旅客機に乗ることができます。さらに、機長昇格試験を受けて機長になりますが、副操縦士になってから10年ほどかかります。
パイロットはどんな仕事をしているの?
パイロットの仕事は、旅客機を操縦して、お客様や荷物を安全に目的地まで送り届けることです。そのために、旅客機の操縦以外にもたくさんの仕事があります。ある日の仕事を見てみましょう。
空港に到着
出発予定時間の約1~1時間30分前に到着。制服に着替える。

ブリーフィング
運航支援者と打ち合わせ。天候や飛行ルートを確認。


運航前チェック
整備担当者から機体の整備状況の説明を受けたり、飛行データの入力や、燃料の確認などを行ったりする。


ブリーフィング
客室乗務員と打ち合わせ。


離陸
計器などの最終チェックを行って、離陸。天候など周囲の状況に気を配って操縦する。フライト中に食事をとるときは、安全のため、機長と副操縦士は時間をずらして食べる。


着陸


次のフライトへ

デブリーフィング
その日の自分のフライトが終わったら、整備士や、次に搭乗する機長に機体の状況の引き継ぎなどを行ったり、その日のフライトについて副操縦士へのアドバイスや指導をしたりする。

帰宅
本当にいろんな仕事があるんだね。

ANAのパイロットの制服

上空は太陽がまぶしいので、目を守るためにサングラスは必需品
制服の4本線は機長(キャプテン)のしるし。3本線は副操縦士
フライトバッグ。飛行ルートや飛行機の免許証(ライセンス)など、フライトに必要な道具が入っている
旅客機のパイロットのライセンスとは?
旅客機に乗るには、飛行機を操縦するためのライセンスだけでなく、航空英語能力免許や、無線従事者免許、身体検査証明書など、安全に飛行機を操縦できることを証明するライセンスが必要です。

旅客機には、たいてい機長と副操縦士の2人で乗り込みます。フライト中は、機長と副操縦士のどちらかが操縦し、操縦していないほうは、通信やデータのチェックを担当します。装置やメーターは、機長側も副操縦士側もほぼ同じものがついています。

1 窓

視界を広くするために大きな窓がついている
2 操縦かん

上下左右に動かして機体の上昇や下降、旋回を操作する
3 出力レバー

エンジンのパワーを変える。エンジンの数だけレバーがある
4 操縦席

基本的に、左が機長で、右が副操縦士
5 オーバーヘッドパネル

照明やエアコン、ワイパーなどのスイッチがある
6 EICAS

エンジンの状態や機体の不具合などが表示される
旅客機のコックピットは機種によってちがうので、ライセンスも機種ごとに必要なんだケモ。
