南極では、どうやって「通信」しているの?

KDDI株式会社

世界中とつながる電話やインターネット。今では携帯電話やスマートフォンから、いつでもどこでも利用することができますが、南極のようなところでも使えるのでしょうか。通信会社のKDDI(au)に教えてもらいました。

南極では、「通信」は命綱。
安定した通信ができるように、衛星通信を使っているよ。

いろいろな通信

「通信」とは、「情報を伝える」こと。わたしたちは情報を伝えるために、いろいろな通信を使ったり、開発したりしてきました。どのようなものがあるか、その一部を見てみましょう。

体を使った通信

体を使った通信

「会話」や「身ぶり手ぶり」は、日常的に使われている、基本的な通信手段

視覚を使った通信

視覚を使った通信

けむりをあげて合図を送り、それを見て情報を読み取る「のろし」は、日本の忍者などが使っていた

文字を使った通信

文字を使った通信

主に文字を使った通信が「手紙」。手紙による通信手段は、現在の郵便につながっている

電気を使った通信
(有線通信)

電気を使った通信(有線通信)

1837年、電線を使って電気で信号を伝える「モールス信号」が発明されると、遠く離れた相手と通信ができるようになった。1876年には電話機(固定)が発明され、声を伝えられるように

電気を使った通信
(無線通信)

電気を使った通信(無線通信)

1888年に電波の存在が確かめられると、無線による通信が発達し、ラジオやテレビ、携帯電話などの誕生につながった

世界中をつなぐ光ケーブル

通信手段の発達やインターネットの登場で、世界中の人たちといつでも手軽に情報のやりとりができるようになりました。電話回線網やインターネットは、たくさんのデータを高速でやりとりできる「光ケーブル」で世界中とつながっています。

光ケーブル

日本とアメリカの間にある太平洋の海底には、約9000kmにおよぶ長い光ケーブルが設置されている(イメージ図)

ボクたちは今、世界とリアルタイムでつながってる!

hinata

南極は光ケーブルが
つながっていないの?

南極は気象条件や環境が厳しいため、光ケーブルは設置されていません。代わりに衛星通信(人工衛星による通信)が使われています。衛星通信は山奥や海上などでも使われるほか、自然災害などで一時的に地上の回線がつながらなくなってしまった被災地などでも使われます。

南極の命を守る通信

ふだんの私たちにとって通信はできて当たり前であり、携帯電話やスマートフォンを「便利」に使っていますが、船が1年に1度しか来ない南極では、通信は命を守り支える、大切な「命綱」でもあります。通信があるからこそ、私たちは安心して生活できるのです。

kemonon

大量の観測データを日本の研究所に確実に送りたい!
貴重な南極の自然現象を日本でもリアルタイムで見てほしい!
(研究員)

1年以上会えない日本の家族や友人と、電話したりメールしたりしたい!
(隊員全員)

kemonon
南極にとって通信は命綱
kemonon

病人が出た時、日本にいる専門医の意見を急いで聞きたい!
(医師)

天気予報や観測のために、気象衛星や他地域のデータを使いたい!
(研究員)

kemonon

南極と日本をつなぐ衛星通信のしくみ

南極 昭和基地 地球局

昭和基地 地球局
パラボラアンテナ

黒いドームの中に設置されている直径7mのパラボラアンテナ。アンテナはドームによって南極の厳しい環境から守られている。

矢印

通信衛星

高度36,000kmの静止軌道上にある。地上からの電波をキャッチし、地上の目的地へ送る。

通信衛星

南極のパラボラアンテナから発出された観測データや家族へのメッセージなどを通信衛星がキャッチ。

矢印

山口県山口市KDDI山口衛星通信所

山口県山口市KDDI山口衛星通信所

山口県のKDDI山口衛星通信所に送られる。

矢印

東京都立川市国立極地研究所

地上の回線を使って、
東京都の国立極地研究所に届けられる。

矢印

インターネットや
電話回線を使って世界につながる。

南極で14カ月、おしごとしました!

答えてくれた人

KDDI株式会社 電波部
大越崇文さん(第54次日本南極地域観測隊)

私はKDDI※の通信技術者として南極の昭和基地で働いたことがあります。仕事は「基地内、および日本との通信を守る」こと。衛星通信・ネットワーク技術者は私ひとりですから責任重大でした。昭和基地に船が来るのは1年に1度だけなので、何事も基地内で解決しなければなりません。心強かったのは、「仲間」の隊員たちの存在です。何かしらのプロである仲間たちと知恵や技術を絞り出し、創意工夫で解決しました。私の担当で不具合が起きた時も、「なんでも手伝うよ」と仲間が駆け寄ってくれました。最高の瞬間です! 南極での14カ月は、仲間の素晴らしさを実感した日々でもありました。

※正しくは、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所に出向後、赴任

南極へ行きたいと、子どものころから願っていました。みなさんも「想いは必ず叶う!」と強く思い、その目標に向かって努力を続けてください!