商社の仕事が社会問題の解決に役立つこともある?

日本貿易会

商社はお客様のニーズに合ったモノやサービスを提供するのが仕事。その仕事が社会問題の解決に役立つことがあります。どんな例があるのでしょう? 日本貿易会に聞いてみました。

商社はいつも、作る人も売る人も買う人にも役に立つ、みんなが笑顔になれる方法を考えているよ。

現代では、インターネットなどを通じてだれでも簡単に商品を買うことができます。でも、どこで調達されたものなのか、だれが作ったものなのか、本当に安心して使う・食べることができるのか、確認が難しい場合もあります。そんな不安を人々が感じることのないように、安心・安全の品質に責任を持てるように、商社は商売の上流から下流まですべての過程に携わっています。そして、時にその過程で、社会問題に直面し、解決まで結びつけることもあるのです。

問題発生

問題発生

ぼくらのシャツやズボンになる綿花は、世界中で栽培されているんだよね。特にインドや中国でたくさん栽培されていると聞いたよ。

ヒナタ
商社

うん。でも普通の綿花栽培には、とてもたくさんの農薬や化学肥料が使われるんだ。もちろん国ごとに基準があるんだけど、土壌や水などの環境や、農家の人たちの健康に影響がでることがあり、困っているよ。

えっ、それは大変! 何とかできないの?

ヒナタ

解決の提案

解決の提案

その問題を解決するために提案されたのが、有機農法で栽培する「オーガニックコットン」だ。化学肥料の代わりに、基準に定められた有機肥料などによる土壌作りを行い、禁止されている農薬は使用しないようにしているんだ。

商社
ヒナタ

なるほど! それなら安心だね。それで問題解決?

いや、有機農法は環境や農家の人たちの健康にはいい農法だけど、手間がかかるし、切り替えのための費用もかかる。できあがる製品の値段も上がるから、単純に切り替えるだけでは、うまくいかないんだ。

商社

解決までの道のり

解決までの道のり
商社

だから商社は、有機農法の指導やオーガニック認証の取得サポートを行い、作られた綿糸や綿布を普通よりも高い値段で買い取ることを保証、オーガニックコットンの普及を後押ししたよ。同時に、健康や環境への影響の少なさなど、その良さを消費者や関係者に広くアピールして協力を求めたんだ。

綿から布を作り、染色・加工する工程でも、化学薬品の使用を減らすよう徹底し、消費者にもそれが伝わるしくみを作ったんだね。綿花の買い取りから、製品化まで広く関与する商社ならではのやり方だね。

ヒナタ

現在

現在
商社

みんながオーガニックコットンの良さを知って、選んで買うようになると、農家の人たちも有機農法を取り入れるようになってくる。僕らが目指すのは、こういう問題解決だよ。

作る人も売る人も買う人も笑顔になれて、地球環境にも優しいなら、文句なしだね!

ヒナタ

商売の基本は、近江商人が考えた「三方よし」です

答えてくれた人

日本貿易会 広報・CSRグループ 横溝博一さん

中世から近代にかけて活躍した近江(現在の滋賀県)出身の商人を、「近江商人」と呼びます。彼らには、「売る人」も、「買う人」も、そして「世間」(社会)にとっても、「よし」となる商売が理想だという考え方がありました。これを「三方よし」といいます。例えば日本では作れないおいしいフルーツを、海外から安く仕入れることができたら、日本で買う人はうれしいですよね。売る方も、安くはしても、ちゃんともうけがでる形でより多く売ることができれば、商売は成功です。さらに、現地に農場や工場をつくることで、そこに住む人々の働く場所ができれば、社会的にも意義のあることです。商社パーソンはこの「三方よし」の考え方に基づき、世界中で活躍しています。

売る人も、買う人も、社会的にも、みんな幸せになるために、商社は働いています。

答えてくれた人