朝起きた時刻にご飯が炊けるのはなぜ?

セイコーホールディングス株式会社

わたしたちが普段何げなく使っている電化製品と、時計の技術の関わりについて、セイコーホールディングスに教えてもらったよ。

炊飯器にクオーツ時計の技術が使われているからだよ。

身の回りのいろいろな物に、クオーツ時計の技術が使われている!

炊飯器で炊き上がり時間をセットできるのは、炊飯器に組み込まれた時計が正確に動いているからです。他にも、身の回りにある多くの電化製品には、正確な時間で動けるよう、クオーツ時計と同じ技術が使われています。

炊飯器

炊飯器

電子レンジ・オーブン

電子レンジ・オーブン

テレビ・DVD

テレビ・DVD

パソコン、携帯電話などの通信機器

パソコン、携帯電話などの通信機器

通信機器に使われているクオーツ時計の技術

スマートフォンやカーナビゲーションなど、通信を行う機器は、一定の時間基地局と連絡を取り合い、自分の位置を確認しています。この一定の時間を、より正確に計るために、クオーツ時計の技術が使われています。

スマートフォン

道案内をしてくれるスマートフォンや車のGPS機能も、クオーツ時計の技術が使われているんだよ

クオーツ時計のしくみ

時計は、ものが一定のリズムでゆれ動く振動を利用して時間を計っています。このゆれ動く振動が細かいほど、時間は正確です。
20世紀に入ると、水晶(クオーツ)に電圧をかけると一定の間隔で振動する性質を利用した、クオーツ時計が発達しました。現在使われている時計の中で、いちばん多いのがクオーツ時計です。より正確な時を刻める時計として、セイコーが1960年代後半に製品化しました。

水晶振動子の振動

水晶振動子の振動

水晶の原石からつくられた水晶振動子に、電圧をかけます。すると、水晶振動子は上図のような運動を、1秒間に3万2768回くり返します

家電の便利な機能は、正確な時間のおかげなんだね

hinata

時計の進化で開かれた新たな世界

21世紀のクオーツの技術を応用した時計には、陸上で正確な時を刻むことはもちろん、はるか上空の宇宙や、海の奥深い場所でも耐えられるような、高い性能を持つものもあります。

宇宙空間で時を刻んだ時計

2008年、世界で初めて宇宙で使用することを目的に開発された腕時計「セイコースプリングドライブスペースウォーク」が、宇宙空間で時を刻みました。

史上6人目の民間人として宇宙へ行くことになった、アメリカのリチャード・ギャリオットさんは、宇宙で使用するための時計をセイコーに依頼しました。

2008年10月、ギャリオットさんは、でき上がった時計4本を持って宇宙へ出発。彼の時計は、国際宇宙ステーション(ISS)での生活の間、少しも狂いませんでした。

ギャリオットさんは地球に戻る時、2本の時計をISSに残しました。その時計を、ロシアの宇宙飛行士が身に着け、宇宙船外活動を行ったところ、宇宙空間でも時計は正確な時を刻みました。

国際宇宙ステーション内のリチャード・ギャリオットさん。左手にセイコーの腕時計を2本つけている

リチャード・ギャリオットさん

ギャリオットさんのためにつくられた<セイコー スプリングドライブ スペースウォーク>

宇宙空間

深海で時を刻んだ時計

2014年、セイコーが開発したダイバーズウオッチが、水深3000mの地点でも駆動していたことが確認されました。

セイコーは、1965年に開発した、国産初のダイバーズウオッチを皮切りに、数々のダイバーズウオッチを製造。75年には、600mの水深でも耐えられる、世界トップクラスの時計を完成させました。

1983年5月、セイコーは深海における時計の性能を調べる実験を行います。有人潜水調査船「しんかい2000」が、水深600mでも動く性能を持つダイバーズウオッチを装着して、海に潜りました。その結果、性能以上の、1062mの海底でも正確に動くことが実証されました。

水深1000mでも機能するダイバーズウオッチを開発したセイコーは、2014年9月、その時計を無人探査機「かいこう7000Ⅱ」に装着させて潜らせ、深海での駆動実験を行いました。その結果、水深3000mという、本来持つ性能より3倍も深い海底で動くことが確認されています。

無人探査機「かいこう7000Ⅱ」
<セイコークオーツモデル(左)とメカニカルモデル(右)>

水深3000mでも時を刻んだ<セイコークオーツモデル(左)とメカニカルモデル(右)

無人探査機「かいこう7000Ⅱ」。前方のカゴに実験用時計が装着されている
©JAMSTEC

宇宙最高峰のものづくりを目指して

答えてくれた人

セイコーミュージアム 星野智子さん

太古の昔から「時計」は人びとの暮らしを便利にし、山や海、いろいろな場所で働く人たちの生命や安全を支えてきました。
たとえば近い将来、みなさんが当たり前のように宇宙を旅することができる時代になって、火星に行った時に、当たり前のように使える時計があったらいいなと思いませんか? 他にも、自然にも人にも優しい時計、なんだか笑っちゃう時計、今まで見たことのない時計……そんな未来の時計を創りたいなと思ったみなさん! 大きな夢と思いやりの心を持って、そして使う人の心と創る人の心を合わせて、宇宙で最高のものづくりを、一緒に目指していきましょう!

東京の墨田区にあるセイコーミュージアムには、世界中からたくさんのお客様が来ます。時計の歴史や原理、時のいろいろを知ることができますよ。

セイコーミュージアム 星野智子さん

『ピラミッド・トーク』

1980年代にセイコーで発売された、音声で時刻を知らせる置き時計