国旗の揚げ方にはルールがあるの?

株式会社アテナ

国際会議やスポーツの大会などで掲げられる国旗の大きさや並び順などは国際的な基本ルールに基づいています。国旗の掲揚を行う会社のアテナに、教えてもらいました。

国旗は、国際的な儀礼「プロトコール」に基づいて掲げるよ。

「プロトコール」とは、国家間の儀礼上のルール、またはエチケットで、言葉も文化も歴史も違う海外の国々との関係を良くしていくための潤滑油のようなものです。訪日される海外のお客様は国の大小にかかわらず、平等に、大切にお迎えしなくてはなりません。国旗はその国を表すシンボル。失礼のないよう、プロトコールに基づいて掲揚します。

国際会議を見てみると…

2008年に開催された洞爺湖サミットでは、国旗は開催国を向かって左に配置し、その後は国連方式のアルファベット順に並べられ、続いて国際機関旗が並びました。

洞爺湖サミット

左から、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、南アフリカ、イギリス、アメリカ、EU、OECD、国連、世界銀行、IEA

こんな揚げ方は×!

以下のような国旗の掲揚は、原則として行いません。
×破損・汚れた国旗の掲揚
×雨天・日没後の掲揚
×国旗と団体旗(県や市などの旗)の隣り合わせの掲揚

国旗と団体旗

どうしても必要な場合は、国旗は団体旗より大きく、高い位置で掲揚します。

サイズは2:3

国旗の基準サイズは、国連の方式にのっとり、縦:横=2:3が基本です。ただし、例外もあります。

ネパールの国旗

ネパールの国旗は独特の形をしているよ

街路にも国旗を

国賓など、国でもてなすお客様が来日した際は、東京の迎賓館や霞ケ関周辺などに街路旗が掲げられます。

フィリピン大統領が訪日した時の様子

フィリピン大統領が訪日した時の様子

不幸があったときは

国家元首が亡くなったり、震災などで大勢の方が亡くなったりしたら、「半旗」や「弔旗」を掲げて悲しみを表すことがあります。

半旗

半旗

弔旗

弔旗

国旗は何でできている?

国旗は、屋外の高いポールに何時間も掲げられることがあります。各国から賓客が来ている時に汚れていたり、破れたりしてしまっては大変!
海外では絹や木綿、羊毛などで国旗を作っていますが、日本では現在、丈夫で汚れにくく、雨にぬれてもすぐ乾く化学繊維で作られています。
大量に作られるものを除いて、発色がよく、美しい色合いが長持ちする伝統的な染め方で色をつけ、縫製もしわにならないように縫っています。

染め

染めから縫製まで、一つ一つ丁寧に手作りで作られる国旗。丈夫で長持ちするよ

縫製

オリンピックの、国旗掲揚の舞台裏

国旗のスペシャリストとして国内での国旗掲揚を手がけるアテナですが、今から10年前に開催された2008年の北京オリンピックでは、コンサルタント(困っていることについて相談に乗る役割)として国旗の掲揚などを指導し、お手伝いしました。毎日、さまざまな場所で行われる競技で成績優秀者をたたえる国旗掲揚が行われましたが、その裏側で、私たちも毎日走り回っていたのです。

国旗掲揚の方法の指導

国旗掲揚を担当する中国人民解放軍の係の人たちに、国旗掲揚のプロトコールを説明。国旗について知ってもらうために、図やテキストも用意しました。

国旗の掲げ方

国旗の掲げ方をアドバイス。全ての会場で、正しく国旗が掲げられました

順位は直前までわからない!?

大きな大会では、数分おきに表彰式があります。掲揚する国旗と順位を間違えないよう用意するのは大変!

表彰式
kemonon

国旗を逆さまに揚げてしまったり、違う国の国旗を揚げてしまったら大変!

国旗がきれいにはためくよう、掲揚ポールにはしかけがあるよ。

hinata

デジタル地球儀で、
さまざまな国を知ってください

答えてくれた人

株式会社アテナ フラッグセレモニーアドバイザー 桒畑朋子さん

国旗は国家や国民そのもので非常に大切なもの。間違えたり、汚したりしたら外交問題になってしまうかもしれません。私もアテナで国旗担当となってから、世界基準の「プロトコール」を学び、各国の国旗一覧表を常に持ち歩いていました。上で紹介した2008年の北京オリンピックでは、組織委員会から大会の表彰式のコンサルタントを委託されました。大会本番まで2年にわたり何度も北京に赴き、約200人の人民解放軍の若者らに国旗とその取り扱い・プロトコールについて講義をしました。国旗の持ち方から国歌に合わせて掲揚するタイミングまで、事細かに指導しました。大会直前のリハーサルの時は、各会場を回ってチェックし、間違っている点を17カ所指摘・指導しました。そして、本番では一つのミスもなく表彰式が行われ、組織委員会から感謝状を頂きました。
国旗に関する仕事はいつでも緊張の連続ですが、北京オリンピックでは中国の若者たちに「国旗を大切に」という気持ちが、国を超えて伝わり、役にたてたと実感できた仕事でした。
国旗を通して世界のことをパソコンやスマホで楽しく学べる「デジタル地球儀e-Book版」を開発しました。たくさんの国の人とお友達になるアイテムにしてくださいね。

株式会社アテナ フラッグセレモニーアドバイザー 桒畑朋子さん

国旗を正しく学んで、
世界の国々と友達になろう。

北京オリンピック組織委員会から授与された感謝状

北京オリンピック組織委員会から授与された感謝状

デジタル地球儀

各国の国旗の由来や国歌、その他の情報が詰まったデジタル教材。楽譜をクリックすると、国歌を聞くこともできるよ!

デジタル地球儀