商品名にも権利があるってホント?

日本弁理士会

名前は誰にとっても大切なもの。特に商品名は、製品の特長や親しみやすさを決定づける、重要なものです。この商品名を守る権利について、日本弁理士会に教えてもらいました。

ホント! 「商標権」というよ。

「商標」とは、その商品やサービスの提供者をわかりやすくするための目印です。名前を聞いただけで姿が目に浮かぶような商品は、多くの場合、その名前を「商標」として、特許庁に商標登録しています。こうすることで、他人がその商標を勝手に使うことを、防いでいます。

おもしろネーミング大集合

赤いきつね®

東洋水産株式会社/商標登録第4699231号

赤いきつね®

売り場で目立つように赤いデザインとなり、それに合わせてつけられた名前。最初は「熱いきつねうどん」になる予定だったんだって!

シーチキン®

はごろもフーズ株式会社/商標登録第3320013号

シーチキン®

「海のとり肉」という意味。まだツナが一般的でなかった時代に、親しみを持ってもらうためにつけられたよ

セロテープ®

ニチバン株式会社/商標登録第5645018号

セロテープ®

普段何げなく口にしている言葉だけれど、これはニチバンという会社の登録商標。製品の一般名称は、「セロハンテープ」というよ

サランラップ®

旭化成株式会社/商標登録第5917536号

サランラップ®

開発者の奥さんの名前が「サラさん」と「アンさん」だったことからつけられたんだって

いろんな由来があるんだね!

hinata

サービスマークも商標登録できる

日本弁理士会/商標登録第4586464号

商品名だけでなく、サービス名なども商標登録できるよ。日本弁理士会のキャラクター「はっぴょん」も、「サービスマーク」として商標登録されているんだって!

はっぴょん

はっぴょん

名前の後ろにある®の意味は?

「®」は「マルアールマーク」と呼ばれ、商標登録されている商標(登録商標)につけることができます。TMマークも同じように商標として使っていることを意味しますが、商標登録されているとは限りません。似たようなマークで© マークがありますが、これは著作権を主張するマークです。

登録できない言葉もあるよ!

商標登録するには、その言葉が先行の商品名と類似しないだけでなく、それが他の商品やサービスと区別できるものでなければなりません。例えば、りんごに「リンゴ」や「apple(りんごを意味する英単語)」のような、一般的にそれを指す言葉は商標登録できません。ただし、パソコンの「Apple」のように、まったく違うものの一般名詞を登録することはできます。

商標権がないと、どうなるの?

親しみやすく面白い名前は、それだけで商品を大ヒットさせることもあります。せっかくいい名前を思いついたのに、商標登録をしておかないと、他の会社にまねをされて、販売の邪魔をされてしまうこともあります。
それだけでなく、商品を買う人にとっても、不利益になることがあります。同じ名前で違う内容の商品がたくさんあると、本当に買いたいものが買えなくなったりするからです。

もしも商標権がなかったら…

kemonon
矢印
hinata
矢印
kemonon

商標にも、いろんな種類があるよ

商標には、単なる文字や、文字と図形で構成されるロゴマークなどの他に、CMで流れるサウンドロゴのような音や、文字・図形の動きからなるものもあります。これらの商標を登録しておけば、他の人は、似たような名前やロゴマーク、音などを商標として使うことはできません。

立体商標

立体商標

お店の入り口でお客さんを迎える、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースや、不二家のペコちゃん。これらの人形は、立体商標として登録されているよ。
左:カーネルサンダース(商標登録第4153602号)
右:ペコちゃん(商標登録第4157614号)

音商標

音商標

テレビCMなどでおなじみの、大幸薬品の「ラッパのマーク」。このマークはもちろん、CMの最後に入るラッパのメロディーも音商標として登録されているよ。
正露丸のラッパのメロディー(商標登録第5985746号)

色彩商標

色彩商標

朝焼けのオレンジ・夕焼けのレッド・オアシスのグリーン。セブン-イレブンの店舗のデザインなどで使われるこの色の組み合わせも、色彩商標で保護されているよ。
(商標登録第5933289号)

みんなの知的な財産を守っているよ!

答えてくれた人

弁理士 田辺恵さん

みなさんは、好きなおかしを買う時などに、名前やマークを目印にして選んでいませんか? このページで紹介した名前やマークは「商標」という「知的財産」です。将来、ロボットや自動車を発明したい人はいませんか? 「発明」も「知的財産」です。歌を作るなど、表現することは好きですか? 表現も「著作物」という「知的財産」です。これらのように、人の頭の中から生まれる知的な財産を守ることはとても大切です。けれども「知的財産」は形がある物のように簡単にやりとりできるものではありません。私たち弁理士は、そのような「知的財産」を守る仕事をしています。例えば、商標ができた時に他の人と同じ商標がないかを調べたり、発明をした人に新しい発明の内容を聞いて登録したりするお手伝いをしています。「弁理士」は専門的な知識が必要な世の中に役立つ仕事です。

世の中には、面白い商標がたくさんあるよ! ぜひ、その名前の由来と意味を調べてみてね。

弁理士 田辺 恵さん