
白金(プラチナ)は燃料電池でどのように使われているの?

キラキラと美しい貴金属には、指輪などのアクセサリーや、コインなどの資産としてのイメージがあります。ところが実は、最先端の産業分野でも貴金属は活躍しているのです。田中貴金属グループに聞いてみました。
水素と酸素の化学反応を活発にする「触媒」として使われているよ!

※番号=原子番号 アルファベット=元素記号
記憶容量を増やした!
ルテニウム

水から水素を発生させる光触媒や、ハードディスクの記憶容量を増やすことに貢献。
溶けない! 硬い!
ロジウム

塊の状態なら、どんなものにも溶けない! とても硬いので、表面を硬くするめっきに使われている。
水素をたっぷり吸収!
パラジウム

水素を大量に吸収できる性質で、高純度の水素の製造装置で力を発揮。歯科用合金などにも使われている。
鏡やフィルムを生んだ
銀

可視光線の反射率が、金属の中でもっとも高いため、鏡に使われている。写真が生まれたのも銀のおかげ。
科学捜査で活躍中!
オスミウム

バイオテクノロジーや、指紋の検出といった科学捜査で活躍。合金でより硬くなり、万年筆のペン先にも使われる。
点火プラグにいるよ!
イリジウム

硬さとサビにくさに優れ、高温でも大丈夫。この性質を生かし、自動車用の点火プラグなどに使用される。
貴金属の期待の星!
白金(プラチナ)

燃料電池の触媒から、抗がん剤の原薬まで、さまざまな使い道がある、可能性を秘めた貴金属。
キラキラだけじゃない!
金

非常によく伸び、また、広く延びる。スマホなどの中ではものすごく細い線となり、電気を通す役割を果たす。
写真 田中陵二
燃料電池の中では、白金が触媒として大活躍!
水素と酸素によって電気を生み出す燃料電池は、二酸化炭素や大気汚染物質を排出せず、水だけを排出します。そのため、クリーンでエコな最先端エネルギーとして、燃料電池自動車などに活用されるようになりました。
その燃料電池で、貴金属の白金が「触媒」として重要な役割を果たしています。触媒とは、自分自身は反応しないけれど、化学反応を活発にするはたらきがあるもの。白金は触媒として、燃料電池の中で水素と酸素が化学反応を起こす手助けをしています。
燃料電池の中では、
こんなことが起きて発電している!

燃料電池用白金触媒のイメージ

◀炭素の表面には、ナノサイズの白金のつぶが付着していて、触媒のはたらきをしている。ちなみに1ナノメートルは1mmの100万分の1の大きさ。
白金も、触媒として
活躍しているのだ!


炭素の表面についた白金が、水素を水素イオン(H+)と電子(e-)に分ける。

電子(e-)が回路を通過することで電流が発生し、電気エネルギーになる。

水素イオン(H+)は電解質膜を通って正極に流れる。

酸素が来ると、白金がつかまえて酸素原子に分ける。

白金が、負極から来た水素イオン(H+)と電子(e-)を酸素原子(O)とくっつけて、水(H2O)をつくる。

水だけが排出される。クリーンでエコな発電と言われる理由はココにある!
燃料電池自動車の構造

水しか出てこない
なんて、すごいな!

究極の発電システムの発展に貴金属も貢献しています
田中貴金属工業株式会社 FC触媒開発センター
センター長 奥田晃彦さん
燃料電池は、水素から水だけが排出される発電システムを実現しています。このシステムは、クリーンであることから究極の発電システムともいえます。すでに自動車やバス、フォークリフトにも搭載され、次世代のエネルギーとして期待が寄せられています。また、発電する際に得られる熱を使って温水を作り、給湯器としても活躍しています。
私たちは、今後まだまだ発展していく未来のエネルギー活用として、希少な貴金属を用い、安価で高活性な燃料電池触媒の開発と普及に取り組んでいます。

貴金属の活躍にご期待
ください!