
小学生の力で、ティラノサウルスを持ち上げることができる?

大人のティラノサウルスの体重は約7トン。こんなに重いものを小学生の力で持ち上げることができるでしょうか? チェーンブロックという道具を作っている株式会社キトーに聞いてみました。
チェーンブロックという道具を使えば小学生の力でティラノサウルスを持ち上げることも可能!
チェーンブロックって何?
チェーンブロックは、チェーンといくつもの歯車を組み合わせた道具。小さな力で重いものを持ち上げることができます。工場や建築現場など、重いものを持ち上げることが必要なさまざまな現場で活躍しています。

いったいどんなしくみで持ち上げているんだろう。

チェーンブロックのしくみ

たとえば、上の図のように大きな歯車とその半分の大きさの歯車を組み合わせると、50㎏のものを、半分の25㎏の力で持ち上げることができます。 歯車のサイズや数をいろいろ組み合わせることで、もっと軽い力で持ち上げることができるようになります。変速機付きの自転車が、前後のギアの大きさの組み合わせで、ペダルが重くなったり軽くなったりするのと同じしくみです。
ただし、ティラノサウルスを1メートル持ち上げるためには、チェーンを何百メートルも引っ張らないといけないケモ。


重いものを持ち上げる「てこ」と「滑車」!
ピラミッドなどの大昔につくられた巨大な遺跡。人間の力だけではとても持ち上げられないような大きな石を積み上げるなど、昔の人たちはどんな方法でつくったのか、疑問に思ったことはありませんか。私たち人類は、大きなものをつくるために、なるべく小さな力で大きなものを動かすしくみを大昔にすでに考えていました。その代表的なものが「てこ」と「滑車」です。
てこ
棒を一つの点で支えて、その点を中心に、自由に回転できるようにしたもの。下の図のように、「支点」「力点」「作用点」があり、支点と作用点が近いほど、小さな力で重いものを持ち上げられます。

滑車
車の溝に、ロープやチェーンをかけたもの。軸が固定された「定滑車」、固定されていない「動滑車」、この二つを組み合わせた「複合滑車」があります。 滑車を複数組み合わせることで重いものを小さな力で持ち上げることができます。

滑車のしくみもじつはてこと同じ

チェーンブロックのギアのしくみは滑車のしくみと同じ原理なんだケモ。

チェーンブロック
はこんなところでも活躍しているよ!

▲ジェットエンジンの整備
ジェットエンジンは、一台で何トンもの重さがあります。整備するときには、チェーンブロックで持ち上げます

▲養殖ウナギの出荷
ウナギも何百匹もいればすごい重さ。出荷するウナギの重さを量るのに、チェーンブロックを使います
電気の力でさらにパワーアップ!
人の力ではなく、モーターを使ってチェーンを巻き上げるタイプのチェーンブロックもあります。人の力よりも、もっと重いものをより速く持ち上げることができます。
難しい課題を解決して新しい製品を作る
チェーン製造本部 チェーン技術グループ 土橋輝彰さん
今までよりも強い、新しいチェーンの研究開発が仕事です。たとえば、材料の配合を変えて試作品を作り、目標の品質に到達できるか実験を行います。強いチェーンには「硬さ」だけでなく「伸び」も重要な要素となり、この二つは相反する性質を持つため、良いバランスにするのは、とても大変なんです。
自分が開発に携わったチェーンが製品の一部となって、お客様のお役に立っているところを見ると、とてもうれしいです。会社によっては、限られたテーマの研究開発にしか携わらないことも多いのですが、キトーの場合は、材料の段階からチェーンを作り上げる段階まで、全体的に関わることができるので、開発者としてのやりがいを一層感じます。
日々の疑問や気づきを大事にして突きつめていくことが、研究開発では大切です。