人工衛星は "釣り竿〟で進化したって、本当?

グローブライド株式会社

人工衛星に使われているカーボン(炭素繊維)という素材を知っていますか? カーボンは、鉄よりも軽くて強いという特長があります。そのカーボンと釣り竿と人工衛星がどうつながっているのか、スポーツメーカーのグローブライドに聞きました。

釣り竿の素材として発達したカーボンが、
人工衛星にも使われるようになったよ。

カーボンって、どんな素材?

カーボンは炭素繊維のことです。文字のとおり、炭素でできている繊維です。カーボンの特長は軽くて強いこと。さらに、熱に強いこと、さびないことなどで、金属に代わる材料としてたいへん注目されています。

カーボンは人工衛星に欠かせない素材だ!

人工衛星
カーボン

鉄と同じ大きさのとき、鉄の1/4の軽さで、
もし同じ重さの場合は、強さが10倍なんだ!

金属じゃないからさびない! 電気をよく通して、熱にも強い!

かなわないよ〜

鉄

カーボンは釣り竿と一緒に進化してきた!

昔、カーボンを使う前は、7mの竿で1kgほどの重さがあった
今は、9mの竿がなんと175g! ものすごく軽い!

鮎釣り

現在、鮎釣りには9mほどの竿が使われる。腰まで水につかって竿を操るため、軽さが求められる

鮎竿の重さの推移

カーボンの研究が始まったのは1960年ごろのこと。最初にカーボンが使われたのは、ゴルフクラブや釣り竿などのスポーツ用途でした。特に釣り竿とカーボンの関係は深く、それ以降も、より軽く、より強くを目標に日々研究開発が行われてきました。こうして培われたカーボンの技術が、人工衛星や宇宙ロケットにも生かされているのです。

釣り竿と人工衛星の
関係がわかったよ!

ヒナタ

どんどん高まるカーボンの需要!

カーボン

カーボンは日本発の素材で、日本が世界に誇る技術のひとつです。軽くて強いなどのすぐれた特長により、今では、世界中のさまざまな分野で使われるようになっています。今後もカーボンの需要はますます高まっていくでしょう。

スポーツ

スポーツ

ゴルフクラブ、テニスラケット、自転車のシャフトなど、スポーツ用品では一般的に広く使われている

医療

医療

電気をよく通すことやX線の透過性がよいことで、CTスキャンなどの医療機器に使われる

航空機・自動車

航空機・自動車

ボーイング787などの航空機、自動車、高速鉄道車両などにもカーボンの利用が拡大している

環境

環境

風力発電の風車(ブレード)や、海底油田のケーブルなどへの利用も検討されている

電子工学

電子工学

ノートパソコン、カメラなどの軽量化にも貢献

ユイ

今のところ鉄などのほうが値段が安いんだって

研究には釣りの技術も応用!

話題の「ドローン」にも釣りのテクノロジー!

軽くて丈夫なカーボンは多くのドローンにも使われている。ドローンの使い道はさまざまだけど、災害時に活用するための研究も進んでいるよ。例えば、山の中で救助を待っている人のところにドローンで必要な物資を運ぶんだ。この時、ドローンが木の枝などにひっかかる危険があるので、物資はウィンチ(ロープなどを巻いて荷物を上げ下げする機械)で下ろす方法がとられている。ウィンチは、釣りで使う電動リールの技術を応用したものなんだ。

ドローン

ドローンの技術もどんどん進歩しているよ

挑戦する気持ちが技術の発展につながった!

答えてくれた人

グローブライド株式会社
広報室 阪本 始さん

グローブライドは、釣り具(ダイワ)、ゴルフ用品、テニス用品、自転車などを扱う会社です。日本でカーボンの研究が始まった頃から、繊維メーカーと協力しあい、釣り竿を通してカーボンの発展に貢献してきました。釣り竿としてよりよいものを追い求めて、挑戦する気持ちが、カーボン技術の発展につながったのです。

答えてくれた人

釣り竿がカーボン
ファイバー進化の
羅針盤なのです

D.Y.F.C
「ダイワ ヤング フィッシング クラブ」

釣りを通して自然と触れ合い、命の大切さを体感してほしいというコンセプトで発足したクラブ。小学生から中学生まで入会可能だよ。