
フリーズドライって何?

フリーズドライの食品は、乾燥しているのにお湯を注ぐだけですぐ食べられる、とても不思議な食品です。いったいどのようにしてつくられているのでしょうか? 世田谷自然食品に教えてもらいました。
物質を「昇華」によって乾燥させる技術。食品は、おいしさはそのままで長期保存ができるよ。
フリーズドライのフシギ
1 特殊な乾燥法
フリーズドライは、物質に含まれている水分を昇華※させて乾燥させる技術です。凍結(freeze/フリーズ)後に乾燥(dry/ドライ)させることから、「フリーズドライ」と呼ばれています。
※昇華=下のコラムを見よう
フリーズドライのフシギ
2 栄養やおいしさはそのまま
フリーズドライの食品は、気圧がとても低い真空状態で乾燥させます。真空状態では低い温度で乾燥されるため、食材そのものが持っている色や風味、栄養素がそこなわれにくくなります。
フリーズドライのフシギ
3 長期保存ができる!
フリーズドライにした食品は水分がほとんどふくまれていません。このように乾燥していると、バイ菌などの微生物が増えづらくなり、長期保存ができます。
フリーズドライのフシギ
4 えっ! これもなの!?
当初は医療の分野で使われていたフリーズドライの技術ですが、今では食品でも広く使われています。

▲インスタントコーヒー

▲ドライフルーツ

▲カップめんの具材

▲宇宙食

ただ乾燥させている
だけじゃないのね!
フリーズドライのしくみ
カギをにぎるのは“昇華”
物質は、加熱されたり冷やされたりすると、「固体⇆液体⇆気体」と、その状態が変化します。このように、温度によって物質の状態が変化することを「状態変化」といいます。 状態変化のうち、液体の状態を通らないで、直接「固体⇆気体」に一気に変化する特殊な現象を「昇華」といいます。フリーズドライの乾燥技術は、この昇華を利用しています。
物質(水)の状態変化

フリーズドライのおみそ汁ができるまで
食品を凍らせて真空状態で乾燥させることで、フリーズドライの食品がつくられます。ここではおみそ汁を例に見てみましょう。

これがフリーズドライか!

1 おみそ汁をつくり、型に入れる

液体

おみそ汁にふくまれる水分は「液体」の状態。
おみそ汁の中の水分に注目!こんな状態変化が起こっているケモ!

2 凍らせる(フリーズ)

固体

おみそ汁を凍らせると、水分は「固体(氷)」の状態に変化。
3 真空状態で乾燥させる(ドライ)

気体

凍ったおみそ汁にふくまれる水分が昇華し、「気体」の状態に変化。おみそ汁には空間ができる。
4 できあがり

お湯を注いでいただきます!


氷が昇華してできた空間にお湯が入る
あっという間に、おみそ汁に戻る!

「乾物」の進化形とも言えるフリーズドライ食品
株式会社世田谷自然食品 管理栄養士 田中雅美さん
お米や干し野菜など、食材を乾燥させて保存する食の知恵「乾物」は昔から日本人の食生活を支えてきました。この保存技術を生かして作られたのが「フリーズドライ食品」です。「乾物」は料理の材料としてさらにひと手間かけなければ食べられませんが、フリーズドライ食品は、おみそ汁などの一品料理を乾燥させたものだから、お湯をそそぐだけですぐに食べられます。つまりフリーズドライは「進化した乾物」とも言えるのです。
フリーズドライのおみそ汁、ぜひ一度、食べてみてください!
