身体の中はどうやって見るの?

オリンパス株式会社

おなかの中が、病気になっているかもしれないときに、医師は口からおなかの中をのぞいたりはできません。おなかを切らずに身体の中を見るために使う道具が内視鏡です。内視鏡についてオリンパスに聞いてみました。

  • 内視鏡の仕事
  • 医療に関わる仕事
  • 社会に貢献する仕事

内視鏡を使えば身体の中を見ることができます。

内視鏡は、食道、胃、大腸などの消化管に病気があるかどうかを調べるために使います。身体の中に細く軟らかい管を挿入し、先端のレンズで身体の内部を映し出します。医師が内視鏡を操作しながら、身体の内部をモニター上の映像で確認します。レントゲン検査やCT検査が体外から撮影した写真を見るのに対して、内視鏡は、身体の中の状態をそのまま映像で見ることができます。さらに内視鏡を通して、処置具を入れることで、病気の部分を取り除くなどの治療を行うこともできます。内視鏡は医師の代わりに、身体の内部を見て、治療する有能な助手のような存在です。

内視鏡は医師の目や手の代わりとなって使用されます

身体の内部が映像で見られるよ。

身体の内部が映像で見られるよ。

内視鏡の構造と機能は
こうなっているよ

ビデオ内視鏡システム

ビデオ内視鏡システム

1 モニター

内視鏡の映像がモニターに表示されるので、複数の医師や看護師が同じ映像を見ることができます。

2 ビデオプロセッサー

スコープの先端部で撮影した画像をビデオプロセッサーで見やすく処理して、モニターに映し出します。

3 光源装置

身体の中は暗いので、ライトで内部を明るく照らす装置です。

4 映像記録装置

内視鏡で撮影した映像を記録できる装置です。

5 ビデオスコープ

ビデオスコープの構造

ビデオスコープの構造

私たちに身近な病気「がん」

日本では毎年約100万人ががんにかかり*1、約37万人もの人ががんで亡くなっており、がんは日本人の死亡原因の第1位(27.3%)となっています*2。日本人がもっともかかりやすい大腸がんや胃がんは、40歳を超えたあたりから、かかる人が増えてきます。

*1 出典:全国がん登録罹患数(2017年調査、2020年公開) *2 出典:令和元年(2019)人口動態統計(確定数)

日本人の死因第1位は「がん」

死因の構成割合(令和元年)

死因の構成割合グラフ

日本ではたくさんの人ががんで亡くなっているのね。

ユイ

がんの早期発見と早期治療を助ける

内視鏡は胃がん・大腸がんの検査や治療に使われています。胃がん・大腸がんは、検診によって早期発見し、早期治療することで死亡率が低下します。大腸がんの場合、早期発見し適切な治療を受ければ、診断から5年経過後に生存している確率(5年生存率)は99%以上にもなります*3。

がんの早期発見と早期治療を助ける

*3 全国がんセンター協議会の生存率共同調査(2010〜2012年集計)

内視鏡は見るだけでなく治療にも活躍します

早期がんなどの病気に対して行われている内視鏡治療は、一般的な手術に比べて入院日数が短期間ですみ、また患者さんへの負担も軽くできると言われています。人々の「人生や生活の質(QOL)」を高める治療法として注目されています。

いろいろな処置具で治療も

いろいろな処置具で治療も

内視鏡による早期がん治療の例

マーキング

マーキング

内視鏡を胃の中に入れて、病気部分のまわりに切り取る範囲の目印をつけます。

矢印
浮かせる(局注)

浮かせる(局注)

胃の粘膜の下の層に薬剤を入れて病気部分を浮かせた状態にします。

矢印
切開

切開

マーキングを切り囲むようにナイフで病気部分のまわりの粘膜を切ります。

矢印
はがす(剥離)

はがす(剥離)

ナイフで病気部分を少しずつはぎとり、最後まではがします。

矢印
回収

回収

切り取った病気部分は検査に出すために、はさむような処置具で回収します。

内視鏡での検査・治療の価値を広く伝えるお仕事です

答えてくれた人

オリンパス株式会社
コミュニケーションズ 社会貢献 神田奈々恵さん

日本では長い間、がんが死因の第1位であり、がんになると「治らない」というイメージを持つ方々もいます。ですが、実際は、日本人に多い胃がんや大腸がんは早期に発見・治療できれば9割以上が治るようになりました。内視鏡は、がんなどの病気を早期で発見するのに役立つだけでなく、治療にも貢献することが大きな価値です。早期のがんの場合はおなかを切って手術しなくてもすむため、患者さんやご家族の心や身体の負担を軽くすることにもつながります。まずはがんを早期に発見して治療する機会を増やすため、私たちは自治体と協力してがん検診や精密検査について分かりやすく皆さんに伝えたり、また小学校や中学校などと連携して子どもたちに内視鏡やがんなどの病気について学んでもらう授業を実施しています。

「がんで亡くなる方を減らしたい」という思いで、早期発見・早期治療の大切さを一般の方や子どもたちにも伝えています。

答えてくれた人