
健康なうんちはどうして黄色いの?


みんな、今日も元気にうんちをしていますか? うんちの色は健康を表すバロメーター。でも、どうしてあんな色なんでしょう? 田辺三菱製薬に聞いてみました。
- 研究・実験の仕事
- 薬をつくる仕事
- 医療に関わる仕事
健康なうんちの色は、食べ物の消化を助けるために分泌される「胆汁(たんじゅう)」の色だよ。
食べ物がうんちになる道のり
食べたものは口から食道を通って胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門の順に通過し、うんちとなって出ていきます。うんちの色は、十二指腸を通過するときに分泌される「胆汁」の「ビリルビン」という物質がつけています。ビリルビンがつける色は腸内の環境によって変わります。健康だと黄色になり、肉や脂肪類を多く取ったり腸内に腐敗菌が多くなると黒っぽい色になります。


口から肛門まで、1本の管でつながっているんだね。
田辺三菱製薬キャラクター
「たなみん」
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❶胃
胃では胃液で食べ物を消化します。
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❷十二指腸
十二指腸にはほかの臓器とつながった管がついていて、胆汁や膵液といった液体が出てきます。これらの液体は食べ物を体に吸収しやすい物質に変える働き(消化)を助けます。
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❸小腸
小腸の内側の壁にあるひだで、栄養を吸い取ります。
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❹大腸
残りカスから水分や塩分を吸収し、うんちをつくります。
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❺肛門
大腸と肛門を繋ぐ直腸でうんちの形を整え、肛門から排出します。
ものをかむときに出るだ液や胃液のほか、胆汁や膵液にも手伝ってもらって、食べ物を消化するんだね。

胆汁の役割
胆汁は肝臓でつくられ、胆のうという袋に蓄えられます。食べ物を食べると胆汁は十二指腸に流れ込み、油っぽい食べ物に含まれる「脂肪」という成分を溶かして消化を助けます。胆汁がうまく働かなくなったり油っぽいものを食べすぎたりすると消化がうまくできなくなります。すると胆汁の成分が固まって石のようになり、胆のうにたまってしまうことがあります。これを「胆石症」といい、お腹が痛くなったり熱が出たりします。

胃腸薬「ウルソ」ができるまで
田辺三菱製薬の「ウルソ」は、今から60年以上前からある薬です。生物の胆汁から取り出された「ウルソデオキシコール酸」という成分からなり、消化を助けて胃もたれなどを改善します。ウルソの開発は、元々は大昔から伝わる漢方薬「熊胆(くまのい)」の研究から始まりました。


昔から、熊の胆汁を粉にした薬「熊胆」が、痛み止めや解毒に効く万能薬として、珍重されていました。

100年くらい前、岡山大学で熊胆の主成分が特定され、ウルソデオキシコール酸と名付けられました。

1954年、東京工業大学で牛の胆汁に含まれる成分からウルソデオキシコール酸を化学的に合成する方法が確立されました。

1957 年、東京田辺製薬(現在の田辺三菱製薬)によって、初めてウルソデオキシコール酸の医療用製剤が発売されました。今も世界50カ国以上で服用されています。
他にも……

ウルソデオキシコール酸には、他にも肝臓の細胞を保護して炎症を抑えたり、胆汁の分泌を促したりするなど、さまざまな働きがあることがわかっています。こうした働きを研究することで、さらに役立つ薬の用途の開発にもつなげることができるのです。
昔ながらの治療薬が、新しい薬につながることも
田辺三菱製薬株式会社 グローバルPV部 石崎 薫さん
昔から、人は身の回りの植物や動物の力を借りて、調子の悪いところを治したり、病気を予防したりしてきました。1000 年以上前に日本に伝わってきた、熊の胆のうを乾燥させた万能薬「熊胆」もその一つ。「どうして『熊胆』は腹痛に効くんだろう?」「どんな成分が効果を発揮しているんだろう?」ということを考えて研究を続け、その仕組みを突き詰めた人々によって、新しい薬「ウルソ」が生み出されてきたのです。
みんなも身の回りでわからないことがあったら、「これはどうしてこうなるんだろう?」ということを深く考えてみてください。「どうして?」を突き詰めて答えを見つけ出したとき、思いも寄らない大発明につながることもあるんですよ。

夢のある薬の開発を目指しています。