木をたくさん切ったら森がなくなっちゃうの?

古河林業株式会社

木造住宅に欠かせない材木は、木を切って加工して作られます。木の家をたくさん作ったら、日本中の森がなくなってしまわないのでしょうか。林業と住宅業の長い歴史をもつ古河林業に聞いてみました。

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木を切ることと森を守ること——
相反するように見える二つはつながっているよ。

大切なのは「森林再生サイクル」

日本の国土面積は3779万ha(ヘクタール)、そのうち森林が占める面積は約3分の2です。この割合を森林率と呼び、先進国(OECD諸国)のなかではフィンランドに次ぐ世界第2位の高さです。
森林は地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素(CO2)を吸収してくれますが、樹齢60年を超えた木々はほとんど吸収しなくなります。適齢期を過ぎた木は切り、計画的に若い苗木を植える。こうしたことで森が活性化し、温暖化抑制にもつながるのです。

一本の木が成長するまで

植林

はじめ苗木は畑で生産されます。森をつくる場所を整える「地ごしらえ」をして、苗木を植林します。

下刈り

苗木の成長が妨げられないように、周囲の雑草を刈り払いします。梅雨明けから盛夏にかけて行われます。

枝打ち

木が成長したら、枝葉を幹から切り落とす「枝打ち」を行います。こうして節のないきれいな木材ができます。

間 伐

過密になった森では、成長途中の木を切ることもあります。適度な密度にすることで、健やかな木が育ちます。

伐 採

いよいよ収穫のとき。樹齢が満ちる前に木を切り倒します。

木材の加工

伐採された木は工場に運ばれ、丸太に切り分けられます。

建築・施工

住宅を建築して得たお金で新たに苗木を買って植えます。こうして森づくりと家づくりのサイクルが成り立ちます。

森の中は安心するケモ。

ケモノン

杉人工林の樹齢別CO2吸収量

杉人工林の樹齢別CO2吸収量
樹齢20年近くでピークに達した後、CO2吸収量は徐々に減少していきます

木を切る現場は安全第一

木を切る現場では安全面で十分な注意が必要です。木を倒す方向、上方や足元に危険はないか、どの道具を使うかなど、念入りに準備をします。
高性能な特殊車両の登場によって、林業の機械化は大きく進みました。

高性能林業機械

高性能林業機械
立木を切り倒して、枝を払い、丸太にして運ぶ。
いくつもの作業をこなす林業機械もあります

とはいえ、車両が入れない狭い場所で活躍するのはチェーンソーです。刃のついたチェーンをガソリンエンジンで高速回転させて木を切ります。

チェーンソー

チェーンソー
チェーンソーを使うには、「チェーンソー作業者」の資格が必要です

林業のプロが使う道具はこれだ!

林業のプロが使う道具
林業のプロ
宮城県七ヶ宿林業所の所長、小山真光さんの大切な仕事道具を見せてもらいました。昔ながらの斧や鉈など、さまざまな道具を使い分けます。切れ味を保つよう、日ごろの手入れも大切です。

日本古来の家づくりは木造建築なんだ!

ヒナタ

工場で丸太から材木へ

国産の木のなかでも家づくりに適しているのは「秋田杉」「伊勢ヒノキ」「北海道・岩手産カラマツ」などです。古河林業では、秋田県、宮城県、三重県に広大な森を持ち、優良な木を育てています。従来の家づくりでは大工さんが図面をもとに木材を加工していました。木材を組み合わせるホゾや継ぎ手といった部分の精密さは手作業では難しいもの。そこで、秋田県に工場をつくり、コンピューターによる全自動加工のシステムを導入しました。職人技と経験が、最先端の技術により常に再現できるようになりました。

木材のカット
精密にカットされた木材は全国各地の建築予定地に運ばれます
骨組み
国産の木材をふんだんに使い、震度7の地震にも耐えうる頑丈な骨組みです
家
50年以上かけて成長した森の木が、こうしてほのかな木の香りを残すすてきな家に生まれ変わりました

木を切ることが自然を守ることにつながります

答えてくれた人

古河林業株式会社 七ヶ宿林業所 岡本 理さん

子どもの頃から自然が好きで、大学で林学を学びました。計画的に木を切るのは決して自然破壊ではありません。新たに植林を行い、森を健やかにし、一本一本の木を元気に育てるために必要な営みなのです。住まいの象徴ともいえる大黒柱をお客様に選んでいただく「大黒柱ツアー」の案内役も務め、最後は切り倒すところまでご覧いただきます。林業という仕事は、自分が植えた木を自ら切ることはできませんが、次の世代に引き継がれていく息の長い仕事です。

大黒柱ツアーで山や自然の素晴らしさもお伝えしたいです!

答えてくれた人
わが家の大黒柱をゲット
「わが家の大黒柱をゲット!」。山を案内し、お客さんに楽しんでいただく役目もあります